ニキビに悩む患者さんは非常に多く、その悩みは他人からは想像もつかないほど深刻なこともあります。皮膚科を受診しても、ある程度の年齢になれば自然に治るからと悩みを真剣に聞いてくれず毎回同じ薬を処方されるだけで一向に改善しなかったという声を聞くことも珍しくありません。また、適切な治療が施されていないとニキビが瘢痕化して跡になり、後々まで残ることもあります。
ここ数年でニキビの治療は飛躍的に進歩しました。治らないまま抗生物質やビタミン剤の内服を漫然と続けているあなたに美容皮膚科最前線のニキビ治療をご紹介しましょう。
ニキビ専用のピーリングは、メディカルスキンケアとしてレチノイン酸クリームを2週間ほど塗ってからはじめの数回グリコース酸のピーリングを行います。
部分的に濃度の強い物をスポット的に使って毛穴にこもっている皮脂や膿を外に出すこともあります。
ピーリング後にイオントフォレーシスで濃度の高く吸収のよいビタミンCを導入します。
グリコール酸のピーリング数回分の効果があるといわれるサリチル酸を用いたピーリングを併用することで効果を上げています。
従来のサリチル酸ピーリングは刺激感が強いのが欠点でしたが、サリチル酸をマクロゴールという基剤に溶かす最新のピーリング法で刺激感なしに従来以上の効果をあげています。
25歳すぎても残る大人のニキビは最近増加傾向にあるように感じます。若い年代のニキビがTゾーンの皮脂の分泌が盛んな部位に多いのに対して大人のニキビは顎や首など男性の髭の生える場所に認めることが多いです。また、通常の治療で治りにくいのも一つの特徴でしょう。
治療ですが、年齢的に化粧をする時間が1日の中で長く占めるので正しい化粧品の選択は大切です。化粧品のアドバイスだけですっきりと治ってしまう患者さんもいます。
25歳過ぎのニキビの患者さんもベースに皮膚の角化異常があることがあるので適切なピーリングは有効です。
一回の治療で数ヶ月ニキビを抑制する最新の治療です。デルタアミノレブリン酸という薬を内服して光を当てるだけの簡単なものです。皮脂腺などを、薬が光に反応して生じた活性酸素が破壊することによってニキビができにくくなるのです。
デルタアミノレブリン酸は元々体内に存在する物質ですし、すぐに尿として体外にでてしまうので安全です。皮膚科の論文などで注目を集めている治療法です。
ニキビ治療で今、もっとも注目を集めているスキンケアとしてビタミンCがあります。ビタミンCを飲むのではなく塗って皮膚から吸収させるのです。
従来純粋なビタミンCは不安定で皮膚からはあまり吸収されないと言われていました。しかし、最近になって純粋なビタミンCで安定した濃度の高いローションや皮脂からの吸収の良い誘導体が開発されました。ニキビは毛穴から分泌された皮脂が活性酸素によって変質することで炎症を生じ悪化します。
ビタミンCには強力な抗酸化作用があるのでニキビに非常に効果があります。またビタミンCにはメラニンの生成を抑えたり、真皮層のコラーゲンを増やす働きもあるのでニキビの炎症の後の色素沈着やニキビ跡のくぼみを目立たなくする働きもあります。
レチノイン酸やグリコール酸をホームケアで用いてニキビの根本の原因である角化異常を改善するのも効果があります。